- HOME
- SPECIAL INTERVIEW
- Vol.03 会社ではなくプロジェクトでつながる時代。
仕事は「人生を実現化」する行為「入社して10年経った頃、このまま定年を迎えても満足しないと思い、絵の個展をやったんです。
上司や家族に求められているものではなく、私にとって初めての意思表示、初めての自己責任の場でしたね」と話すのは、食べるスープの専門店「Soup Stock Tokyo」やネクタイブランド「giraffe」などを展開する株式会社スマイルズの代表取締役社長、遠山正道さん。三菱商事に入社後、社内ベンチャー企業として株式会社スマイルズを設立したという。当時何かをやりたいという欲求にかられ、ある日“女性がスープをすすってホッとしているシーン”が思い浮かび3カ月かけて物語の企画書を描いて、会社に提案してスタートしたそう。
「仕事は人生を実現化する行為で、誰にでも同等のチャンスがあります。今後は大小を問わず色々なものがプロジェクト化していくと思っています。自らがプロジェクトを仕掛け、色んな人を巻き込みながらチームを結成し、プロジェクトが完了したら解散する。こういうことを積み重ねる時代になるんじゃないでしょうか」
プロジェクトの一番の推進力は「人の魅力」会社単位ではなくプロジェクトに参加する時代になると、計画や実行力はもちろん、胆力やプライドなど、その人の魅力が重要になるのだという。「一冊の本の魅力を伝える森岡書店は、多くの人を抱えた我々のような組織ではできないことをやっています。だからサポートしつつ、私自身もプロジェクトに参加させてもらっているんです。中小企業の採用は厳しいといわれていますが、森岡書店のようなとても小さな会社で新卒を募集したら、逆にずいぶん手が上がるかもしれませんね。企業や商品、働き方の魅力や価値を客観的に伝え、チャレンジしている姿や伝統、真面目さ。そういったものを等身大で伝えていく。環境のせいにしてもはじまらないですから」
定年前に“声が掛かる人”になろうどんな職業でも、定年まで雇用する企業はなくなるのではないかと遠山さんは予想する。
「こういう時代になると“自ら仕掛けていく人”、“声が掛かる人”、“そのどちらでもない人”の3つに分かれてくると思います。技術や経験、人としての魅力があれば“声が掛かる人”になれます。しかし、それは経済成長が大前提なので、今後は放っておいて声が掛かる時代ではなくなります。サラリーマンは給料があり、上司から課題も与えられ、ある種、“声が掛かる人”の状態です。ですから、定年になって声が掛からない状態になったときに、さて、何をしたらいいか分からない、ということになってしまうんです」
「働き方改革」は自分の可能性を見つけるためのもの複業ができる時代だからこそ、何かを仕掛けて人生の試し打ちをしておくことが重要だと話す。「働き方改革といわれるようになりましたが、本来は可能性を広げる機会です。本業は本業でメリハリをつけてやって、その上で、本業に価値をつけることや、あるいは全く別のことを見つける時間や機会にすればいいんです。9時から17時は第一部、定時を過ぎた17時からは第二部のように」と遠山さん。「サラリーマンをやりつつ小説家を目指すとか、フルーツの入ったジンサワーが飲める果物屋をやってみるとか。大きくしたいと思ったら、昼間の仕事を辞めて複業の方を本業にすればいいんです。FacebookやAirbnbも、みんな思いつきのようなことから始まっています。私が若い頃は、仕事は“団体戦”の時代でした。でもいまは“個人戦”の時代。負けるようなチームにいつまでも寄生している必要はなく、自ら仕掛けていくことが、会社や社会からも認められている時代です。私たちも、“The Chain Museum”というプロジェクトを立ち上げました。アーティストを支援しながら、ユニークなミュージアムを世界につくり、アートの次のあり方をつくるというプラットフォームです。
仕掛けることには常にリスクを伴いますが、自分は安全地帯に居て何もせず、できない理由を他人のせいにしていては一歩も進まない。人のことをとやかく言うよりも、自らが主体となって考え、世の中にない新しい価値観をつくるほうが健全ですし、魅力的だと思います」
シゴトジウムトークイベント登壇決定!7月30日にWeWorkで開催されるトークイベント「シゴトジウム(Vol.03)」は、遠山さんにご登壇いただきます。参加ご希望の方はイベントフォームから申し込みください。
1962年東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、85年三菱商事株式会社入社。2000年株式会社スマイルズを設立、代表取締役社長に就任。現在、「Soup Stock Tokyo」のほか、ネクタイ専門店「giraffe」、セレクトリサイクルショップ「PASS THE BATON」、ファミリーレストラン「100本のスプーン」、コンテンポラリーフード&リカー「PAVILION」、海苔弁専門店「刷毛じょうゆ 海苔弁山登り」を展開。「生活価値の拡充」を企業理念に掲げ、既成概念や業界の枠にとらわれず、現代の新しい生活の在り方を提案している。近著に『成功することを決めた』(新潮文庫)、『やりたいことをやるというビジネスモデル-PASS THE BATONの軌跡』(弘文堂)がある。
Smiles : http://www.smiles.co.jp/
Soup Stock Tokyo : http://www.soup-stock-tokyo.com/
giraffe : http://giraffe-tie.com/
PASS THE BATON : https://www.pass-the-baton.com
100本のスプーン: http://100spoons.com/
PAVILION:http://www.pavilion-tokyo.com/
刷毛じょうゆ 海苔弁山登り:http://www.bento-smiles.com/
遠山正道のブログ: http://toyama.smiles.co.jp/